ARCHISSが発売しているProgresTouch RETOROシリーズはシンプルなメカニカル式が特徴です。
しかし、その中に一際異彩を放っている”TINY”とバリエーションがあります。
"TINY"はタイニーという読みで”小さい”という意味があり、その名の通りテンキーレスサイズよりも小さいのが特徴です。
そんな特徴的なProgresTouch TETORO TINYですが、以下に当てはまる方におすすめです。
ProgresTouch TINYで幸せになる方
- スリムなキーボードが欲しい方
- お手頃のメカニカルが欲しい方
- PS/2接続を利用する方
ということで、今回はARCHISSのProgresTouch TETORO TINYをレビューしていきます。
通常のフルサイズやTKLサイズは一部異なります
こんな方に向けて書いています
- ProgresTouch TINYが気になる方
- コンパクトなメカニカルが欲しい方
- お手頃価格のメカニカル欲しい方
ProgresTouch TINYをレビュー
それではProgresTouch TINYをレビューしてきます。
まずはパッケージから紹介していきます。
まず、パッケージを見て思ったのは「パッケージもコンパクト!」であるという点です。
他のキーボードのパッケージと比較するとProgresTouch RETORO TINYのパッケージの大きさが良く分かると思います。
横幅が小さいのはもちろんですが、それ以上に縦幅が全然違うのが分かります。
パッケージを開封するとキーボード本体が出現します。
パッケージが長細いのは同じく長細いキーボード本体にピッタリ合うように作られているからです。
内容物を全て出してみました。
ProgresTouch RETORO TINYのパッケージは二層構造になっており、本体の下に付属品が入っています。
外観レビュー
まずは、ProgresTouch RETORO TINY本体のレビューから行っていきます。
TINYなのでコンパクトなのは間違いありませんが、奥行き方向の余白が少なく横幅に少し余裕を持たされているので特に長細く感じます。
実は長細いキーボードって少ないので僕の中では新鮮なシルエットだと感じています。
横幅が比較的大きい理由は矢印キーにあります。
コンパクトキーボードは基本的に矢印キーが削減されますが、ProgresTouch RETORO TINYは矢印キー付きです。
矢印キーが付いているので横幅のコンパクトさは劣りますが、これまで矢印キーに慣れている方にとっては近い感覚で利用できるというメリットがあります。
実際に矢印キーが削減されたキーボードではFnキーと同時押しによって代用するので、数日から一週間程度慣れる期間が必要です。
そして、個人的に「これ良いな」と思ったのがインサートキーとデリートキーが少し離れていることです。
地味な工夫ですがこれらのキーがバックスペースやエンターの真横にあると、勢い余って一緒に押してしまうことが有るんですよね。
この微妙な隙間があることによって、ミスタイプが起きることを防いでいるのです。
また、削減されたキーはFnキーと同時押しすることによって利用できます。
Fnキーと同時押しした際の機能はそのキーキャップを前側面に書かれています。
例えばF1~F12の場合はFnキー+数字キーを同時押しすることで利用できます。
本体やキーキャップが黒色で全体的に落ち着いている印象ですが、それはロゴも同じです。
本体前面右側に”ARCHISS”とロゴが付いているのですが、光の当たり方によっては全く見えません。
おそらく購入している方の中でも気づかない方も一定数いらっしゃると思います。
これに関しては「物足りない」と思うか「ロゴが主張していなくて良い」と思うかはあなたの感性次第です。
側面から見ると指が触れる面の角度が段によって変化しています。
これはステップスカルプチャー構造と呼ばれる構造で、タイピングの指の移動を最適化してくれます。
背面にも見どころがあります。
左側には配列を一部変更できるdipスイッチが付いています。
機能については後で解説します。
また、チルトスタンドも付いていますので角度を調整できます。
印字を見る方はチルトスタンドを使用した方が見やすくなります。
以上がARCHISS ProgresTouch RETORO TINYの外観でした。
カラーリングが黒なので非常にシンプルであるものの、長細いシルエットによって他のキーボードとは違う雰囲気を放っていると感じました。
占有面積では他に小さいキーボードはありますが、感覚的なスタイリッシュさは随一なのでデザイン目当てでも良いと思います。
付属品
次にProgresTouchの付属品について解説していきます。
- 有線ケーブル
- 交換用キーキャップ
- プラスチックキープラー
- PS/2変換アダプタ
- 取扱説明書
1つ目は有線ケーブルです。
ProgresTouchシリーズは有線キーボードであり、当然ながらケーブルを付ける必要があります。
取り付け方法は背面に接続端子があるので、そこに取り付けします。
ただし、接続端子はUSB mini-Bという現在では下火の端子が使われています。
2つ目は交換用キーキャップです。
先ほどdipスイッチによって一部の配列を変更できると解説しましたが、変更した後にキーキャップを交換することで機能と印字を一致させられます。
「dipスイッチを変えたら場所が分からなくなった」ということは無いので、印字を見てタイピングする方も安心です。
3つ目はプラスチックキープラーです。
これはキーボードに付いているキーキャップを外す際に使用する道具です。
キープラーを使用するとキーキャップが一瞬で取れるようになります。
4つ目はPS/2変換アダプタです。
現在はキーボードとPCを接続する端子は長方形のUSB-Type-Aが主流ですが、その前にはPS/2端子が使用されていました。
利用方法はPCに接続する長方形のUSB Type-Aに接続するだけです。
最後は説明書です。
長細いパッケージに入れるために2つ折りにされていたのですごい曲がっています。
説明書にはdipスイッチの詳しい操作方法や一部のコマンドも記載されているので、使いこなすためには目を通しておきましょう。
以上がProgresTouch RETORO TINYの付属品でした。
キーボード本体はコンパクトですが、付属品は普通のフルサイズやTKLモデル並みに豊富です。
ProgresTouch TINYの良い点
次にProgresTouch RETORO TINYの良い点についてレビューしていきます。
今回紹介するのは以下の6つです。
- 省スペースでスリム
- 二色成型キーキャップ
- dipスイッチ
- PS/2接続が可能
- バリエーションがある
- 価格は1万円前後
省スペースでスリム
最初は省スペースで非常にスリムであるという部分です。
今までも散々紹介しているので言うまでも無いと思いますが、ProgresTouch TINYはTKLサイズと比較してコンパクトです。
実際にテンキーレスキーボードと横幅を比較してみると、キーの2列分(約3.5cm)小さくなっていることが分かります。
ただし、横幅に関しては矢印キーがあるので小さいイメージはそこまでありません。
次に縦幅の違いを比較していきます。
F1~F12がある最上段が削減されているので、3cm縦幅が小さくなっています。
削減されているのは1列分ですが、横幅に比べて元々寸法が小さいのでより大きく削減されたように感じます。
まとめると、劇的に小さいわけではありませんが、テンキーレスよりも一回りずつ小さくなっていると言えます。
TKLよりひと回り小さくコンパクト
二色成型キーキャップ
2つ目は二色成型キーキャップが採用されており、印字が消えないという点です。
実はキーボードの印字には種類があり、安価なキーボードは長く使用していると印字が消えてしまうことがあります。
しかし、ProgresTouch RETOROシリーズには最強の印字方法が使われています。
、、、とはいっても、表からでは印字の違いが全く分かりませんよね。
裏から見ると非常に分かりやすく、二色成型は白のプラスチックと黒のプラスチックが二層に分かれています。
つまり、二色成型は文字の部分がプラスチックなので、キーキャップ自体が削られない限り文字が無くならないのです。
ちなみにですが、ProgresTouchの二色成型キーキャップは他のメーカーの物と比較して厚めになっています。
これによって同じ軸を使用している他メーカーの物と比較して、音が小さく低くなり、落ち着いた雰囲気になるという違いがあります。
印字が消えない構造になっている
▼印字の種類を詳しく▼
-
キーボードの印字には違いがある!主な4種類を解説【二色成型、昇華印刷、レーザー、シルクスクリーン】
ほとんどのキーボードには印字が付いており、お世話になっている方も多いともいます。 一般的に印字にはそこまで注目されないので、そこまで関心が集まらない部分ではあります。 しかし、キーボードの印字にも種類 ...
dipスイッチ
3つ目はdipスイッチによる一部の配列の変化です。
本体の外観レビューの際にも紹介しましたが、キーボードの裏側にdipスイッチが付いています。
dipスイッチは4つ付いており、dipスイッチをONにすることによって配列が一部変化します。
dip1をONにするとコントロールキーとCapsLockキーが入れ替わります。
使用頻度が高いコントロールキーを押すために必要な距離が小さくなるので、一度慣れたら楽なのでおすすめです。
僕もコントロールキーとCapsLockを入れ替える機能が有る場合は必ず有効化しています。
dip2とdip3は一気に紹介します。
dip2はWinキーとAltキーが入れ替わり、dip3は青枠で囲っている位置同士のキーを入れ替えします。
最後にdip4はWinキーをロックする機能です。
Winキーを使用しない方にとってはミスタイプをすると非常に鬱陶しいです。
それをdipスイッチの変更だけで、Winキーを誤爆することが無くなるのは嬉しいですね。
dipスイッチで配列をカスタマイズ可能
PS/2接続が可能
ProgresTouchシリーズはPS/2接続も可能です。
付属品でPS/2変換コネクタが付属していたように、USBに装着することでPS/2接続も利用できます。
現在ではPS/2接続端子自体が付いていないことも増えています。
が、PS/2接続は本当にささやかなメリットがあり、同時押しが若干有利になります。
また、古いPCを使っている場合はPS/2端子しか利用できない場合もあるかも知れません。
こんな時に便利なのがPS/2に対応しているキーボードです。
PS/2変換コネクタは他のキーボードのUSBにも刺さりますが、対応しているキーボードで無いとPS/2接続は利用できません。
諸事情でPS/2接続を利用する必要があり、スリムなキーボードを使いたい場合におすすめです。
PS/2接続が可能なので古い環境でも使える
バリエーションがある
ProgresTocuh RETOROシリーズはバリエーションがあります。
今回はコンパクトなTINYをレビューしていますが、他にもフルサイズ版のProgresTouch RETOROやテンキーが無いProgresTouch RETORO TKLもラインナップされています。
また、フルサイズ版は日本語配列のみですが、TKLやTINYの場合は日本語配列の他に英語配列も選べます。
メカニカルキーボードなので軸ももちろん複数から選べるようになっています。
CHERRY MX製の赤軸や青軸、茶軸や静音赤軸などの一般的な軸に加えてスピード軸(銀軸)がラインナップされています。
ただし、バリエーションによって生産終了している軸もありますので、もう選べない組み合わせもあります。
実は以前には黒軸もあったようなのですが、すでに全部のバリエーションで発売終了しています。
TINY以外のサイズや複数の軸から選べる
▼軸による打鍵感の違いを見る▼
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価格は1万円前半
最後は価格です。
ProgresTouchシリーズはオープン価格なので決まった価格はありません。
そこで、Amazonなどネット通販で実売価格を見ていると1万2千円くらいで売られているショップが多いですね。
英語配列などバリエーションによっては1万円以下で売られている物もあります。
1万2千円というのはメカニカルとしてはお手頃価格です。
外観や作りに安っぽさが無く、軸もCHERRY MX社の正式な物が使われています。
それに加えてProgresTouchは色々機能が付いており、TINYに至っては「スリムなメカニカル」という特徴もあります。
お手頃価格ではありながら品質が高いので、安心して使い続けられます。
価格に対しての品質が高い
以上がARCHISS ProgresTouch RETORO TINYの良い点でした。
まとめると「お手頃価格でスリムなメカニカルキーボードが買える」というのが良い点ということになります。
ProgresTouch TINYの注意点
次にARCHISS ProgresTouch TINYの注意点について解説していきます。
- 慣れが必要
- 人によってはLEDが気になる
- パームレストの選択肢が少ない
慣れが必要
まずは慣れが必要という点です。
ProgresTouch RETORO TINYはコンパクトになっている代わりに一部キーが削減されています。
そして、それらの削減されたキーはFnキーと同時押しによって利用できることも解説しました。
これらの削減されたキーの使用頻度が高い方の場合は配列に慣れる必要があります。
また、矢印キーが寄せられているので慣れるまではミスタイプが増加します。
慣れると矢印キーがホームポジションから近くなるので楽なのですが、それまでは少し我慢する必要があります。
一部キーの配列に慣れる必要がある
人によってはLEDが気になる
2つ目は人によってはLEDが気になるという点です。
これには理由があるので少し順を追って解説します。
まず、ProgresTouch RETORO TINYは普通のキーボードでは半角全角キーがある位置にEscキーが付いています。
半角全角キーは無いのでFnキーとEscキーの同時押しで切り替え可能です。
Escキーの方が使用頻度が高い用途の場合はこれで良いのですが、半角全角キーを多用する場合は切り替えのたびにFnキーを押すのは面倒です。
そこで、便利なのがFn+Qキーの同時押しです。
これはEscキーが半角全角キー、FnキーとEscキーを同時に押すことでEscキーとして動作します。
これが非常に便利なのですが、ONにしていると右上のインサートキーが緑色に発光します。
そのため、印字をみてタイピングする場合は緑のLEDに視線が行ってしまう方もいらっしゃると思います。
Fn+QコマンドをONにするとLEDが気になる方もいる
パームレストの選択肢が少ない
最後の注意点はパームレストの選択肢が少ないという点です。
当サイトではいつもキーボードの前に置く手首置き場をおすすめしています。
これは、高級キーボードのほとんどに厚みがあるので、手首置き場が無いと逆に疲れてしまうからです。
これはProgresTouch TETORO TINYも同様で使用した方が断然疲労を軽減できます。
>>>パームレストがいらないってマジ?疲労軽減効果やミス率を実験!
しかし、ここで困るのが「丁度良い大きのパームレストが少ない」という点です。
パームレストにはサイズがあり、フルサイズ用、TKL用、コンパクト用があります。
この中で選ぶならコンパクト用なのですが、一般的にコンパクト用は矢印キーが削減されたキーボードに合わせられています。
そのため、ProgresTouch TINYとコンパクト用パームレストを組み合わせると、パームレストの横幅が少し足りないのです。
ARICHISSが発売しているコンパクト用パームレストはProgresTouch TINYの横幅に合わせられているのですが、他のメーカーの物から探そうとすると横幅が足りないのは覚悟しておく必要があります。
ピッタリのパームレストは純正品ぐらい
以上がProgresTouch RETORO TINYの注意点でした。
注意点はあるもののそこまで致命的な物はなく、慣れで解決できる部分ではありますね。
ProgresTouch TINYが向いてる方
最後にこれまで紹介した内容を踏まえてProgresTouch TINYが向いている方の特徴を解説していきます。
これは、冒頭にお見せしたものと同じ内容の物です。
ProgresTouch TINYで幸せになる方
- スリムなキーボードが欲しい方
- お手頃なメカニカルが欲しい方
- PS/2接続を利用する方
ここまでご覧頂けたあなたなら、これらの内容も分かって頂けると思います。
復習も兼ねてそれぞれを詳しく解説していきます。
スリムなキーボードが欲しい方
最もおすすめ出来るのがスリムなメカニカルキーボードが欲しい方です。
ここで大事なのが「スリムな”外見”のメカニカルが欲しい方」です。
正直、コンパクトさを求めるなら矢印キーが無いさらにコンパクトな物があります。
そのため、ProgresTouch RETORO TINYは矢印キーが欲しい方や長細いスラっとした形状が好きならおすすめだと思っています。
スリムな外見が好きな方はおすすめ
お手頃メカニカルが欲しい方
ネットでの実売価格が1万2千円程と手を出しやすい金額なので、予算が限られている場合にもおすすめ出来ます。
特に安くコンパクトなメカニカルキーボードが欲しい場合はさらにおすすめできます。
というのも、質が高いコンパクトなメカニカル式の中ではかなり価格が安価だからです。
安価にコンパクトメカニカルが欲しい方はおすすめ
PS/2接続をする方
最後はPS/2接続を利用する方です。
PS/2接続を利用できるメカニカルキーボードは他にもありますが、コンパクトなメカニカルキーボードでは僕が知る限りありません。
「PS/2接続を使わないといけない」という場合は貴重なスリムキーボードになります。
PS/2接続するならさらにオススメ
以上がARCHISS ProgresTouch RETORO TINYをおすすめ出来る方の特徴でした。
とはいっても、あくまで目安なので「当てはまってなくてもProgresTouch TINYが欲しい!」という場合は、自分が好きなように選択するのが絶対良いと思います。
スリムな有線メカニカル
今回はARCHISS ProgresTouch RETORO TINYをレビューしてきました。
TINYはProgresTouchシリーズの中でも最も特徴的です。
あえて矢印キーを残すことによって利便性が高く、さらに独特のデザインになっています。
それに加えて安価に購入できるので、予算が限られている方にも嬉しいですね。
まとめると、「スリムな外観や価格の安さに惹かれた方はおすすめ」です。
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