メカニカルキーボードは多種多様な軸が選べるのが特徴です。
同じキーボードでも軸が違えば全く異なる打鍵感になるので、メカニカル式において軸選びは非常に重要です。
しかし、軸には種類がたくさんありますので、「そもそもどんな軸がある?」とか「軸によって打鍵感がどう変わる?」と疑問を持っている方も多いと思います。
今回はメカニカルキーボードの軸を代表的な4種類とマイナー軸を解説していきます。
ちなみにですが、一口に”メカニカル式”と言ってもたくさんのメーカーやバリエーションが発売されています。
この記事ではメカニカルの本家的な存在である”CHERRY MXキー”の軸を中心に解説していきます。
ロープロファイル軸(薄型軸)やRAZER軸は対象外なので、ご了承ください。
こんな方に向けて書いています
- 代表的な軸の打鍵感を知りたい方
- メカニカル式を検討している方
- CHERRY MX軸の種類を知りたい方
代表的なメカニカル軸を解説
まずは代表的な4つの軸について解説していきます。
ここで紹介する軸は多くのメカニカルキーボードで選ぶことが可能です。
- 赤軸・リニア軸
- 青軸・クリッキー軸
- 茶軸・タクタイル軸
- 静音赤軸
正直、この4つさえ知っておけばメカニカルキーボード選びは困りません。
僕はこれらの4つの軸は全て所持しているので、それぞれの特徴や打鍵感を解説していきます。
赤軸・リニア軸
押荷圧:45g(標準的)
反応深さ:2mm(最大4mm)
押し心地:素直な特性で”キレ”がある
音の大きさ:まあまあ大きい
耐久性:公称1億回
赤軸はほとんどのメカニカルキーボードで選べる軸なので、非常に知名度が高いですよね。
メカニカル軸の中では最もスタンダードな打鍵感です。
押し込むほどにキー荷重が重くなり、底付きが非常に明確で「ピタッ」と止まるのが特徴です。
打鍵音は底付き時に「カタカタ」という音が出るので、そこそこ音が鳴ります。
個人的に赤軸を含むメカニカル式の打鍵感が良い理由は「底付きのタイミングがはっきりと分かる」という点にあると思っています。
安価なメンブレン式は底付きの際に”ぶにゅぶにゅ”という感触があるので、メカニカルに初めて触ると打鍵感にメリハリがあって感動すると思います。
また、ゲーミング系だとリニア軸と言われることも多いですね。
”リニア”というのは、押し込む距離に比例してキー荷重が大きくなるという意味です。
軸の色が赤でなくても”リニア”と言われていたら赤軸系なので、名前に惑わされないようにしましょう。
青軸・クリッキー軸
押荷圧:60g(少し重い)
反応深さ:2.2mm(最大4mm)
押し心地:「カチッ」とクリック感と音が楽しめる
音の大きさ:クリック音がうるさい
耐久性:公称5000万回
青軸も赤軸と双璧を成すぐらいの超有名軸です。
実は一番最初に高級キーボードに興味を持ったきっかけが青軸です。
青軸は赤軸の特徴に加えて「カチ」という音と共に指にクリック感が伝わるのが最大の特徴です。
これによって”押している感”を凄く感じることができます。
ただし、「カチカチ」という音は非常に大きいので、静音性が必要になる場所だと厳しいですね。
ゲームでもチャット相手の青軸キーボードの音が聞こえてくることは良くあります。
ちなみにゲーミング系だとクリッキーと呼ばれていることが多いです。
軸の色は青色ではない場合もありますが、”クリッキー”と書いてあれば「カチカチ」という音がなるタイプです。
茶軸・タクタイル軸
押荷圧:55g(少し重い)
反応深さ:2.0mm(最大4mm)
押し心地:「コリッ」という感触がある
音の大きさ:まあまあ大きい
耐久性:公称1億回
茶軸は赤軸と青軸ほどではありませんが、それなりに有名な軸だと思います。
ゲーミングキーボードだと”タクタイル”と呼ばれていることも多いですね。
打鍵感は基本的に赤軸に近いですが、途中で少し重くなって「コリッ」という感覚があるのが特徴です。
一般的に赤軸と青軸の間ぐらいと言われることはありますが、実はかなり赤軸よりです。
正直、初めて触ったぐらいだと赤軸との違いが分かりにくく、両方比べてみて初めて違いが分かるぐらいです。
「青軸を静かにしたバージョンなんだろうな~」と想像して買ったら、「思ったのと違った、、、」となりますので注意しましょう。
静音赤軸(ピンク軸)
押荷圧:45g(標準)
反応深さ:1.9mm(最大3.7mm)
押し心地:基本は赤軸だがキレは少し劣る
音の大きさ:小さい
耐久性:公称5000万回
静音赤軸は名前に”静音”と入っているように、赤軸の静音仕様です。
ゲーミング系のキーボードだと少ないですが、ビジネス用を想定したシンプル系のキーボードだと大抵選べるようになっています。
別名でピンク軸とも呼ばれますが、赤軸と比較すると絶妙に色が薄くなっているのが分かります。
赤軸の場合は最も音を発するのが底付き音なのですが、それを抑えるために軸に衝撃を吸収する部品が付いています。
これによって、赤軸と比較して約30%ほど音が小さくなっています。
ただし、赤軸の強みである明確な底付きが少し損なわれるというデメリットもあります。
他にも赤軸と比較すると若干重く感じるという点もあります。
当サイトでは赤軸と静音赤軸の違いを別記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。
▼赤軸と静音赤軸の違い▼
-
赤軸と静音赤軸の違いは何?ピンク軸が疲れるのは本当なのか解説!
高級キーボードと言えばメカニカルキーボードが有名です。 しかし、メカニカルキーボードを職場で使用することを考えている方にとっては意外な障壁があります。 それが、タイピングをする際の音です。 実はメカニ ...
以上の赤軸、青軸、茶軸、静音赤軸が代表的な4つの軸でした。
メカニカルキーボードの軸は大体この中から選ぶことになるので、これらさえ知っておけば大体分かると思います。
マイナーなメカニカル軸を解説
CHERRY MX軸にはたくさんの種類があるので、先ほど紹介した4つ以外にも種類があります。
次にマイナーな軸をいくつか紹介していきます。
まあ、マイナーな軸は星の数ほどあるので全てを紹介するのは難しいです。
この記事では日本語配列でも選べるマイナー軸の中でもまだ有名な物を解説していきたいと思います。
銀軸(スピード軸)
引用:CHERRY MX公式サイト
押荷圧:45g(標準)
反応深さ:0.8mm(最大3.4mm)
押し心地:ほぼ赤軸
音の大きさ:そこそこ大きい
耐久性:公称1億回
マイナーではありますが、この中ではまだ知名度は高いのが銀軸(スピード軸)です。
最近では先ほど紹介した代表的な4軸に加えて銀軸も選べるものも増えてきましたし、ゲーミング系だと銀軸もそれなりに選べます。
これは赤軸の反応ポイントと底付きまでの距離を浅くしたものであり、打鍵感はほとんど赤軸と同じです。
赤軸の反応深さが2.0mmなのに対して銀軸は0.8mmであり、底付きまでの距離は赤軸が4.0mm、銀軸が3.4mmです。
スピード軸と言われている理由は反応ポイントが浅い分、入力を始めてから反応するまでの時間が早くなるからですね。
主に一瞬の違いが勝敗を分けるゲーム用に使うなら、あえて銀軸を選ぶメリットがあります。
黒軸
引用:CHERRY MX 公式サイト
押荷圧:60g(重め)
反応深さ:2.0mm(最大4.0mm)
押し心地:赤軸の重い版
音の大きさ:そこそこ大きい
耐久性:公称1億回
日本語配列のメカニカルでたまに見るのが黒軸です。
これは赤軸のキー荷重を重くしたものです。
赤軸のキー荷重は45gですが、黒軸のキー荷重は60gです。
重めの打鍵感が好きな方は赤軸ではなく、黒軸を選ぶと良いでしょう。
クリア軸
押荷圧:65g(重い)
反応深さ:2.0mm(最大4.0mm)
押し心地:茶軸の重い版
音の大きさ:そこそこ大きい
耐久性:公称5千万回
殆ど知名度が無いのがクリア軸です。
これは茶軸を重くしたものであり「タクタイル感があってしっかりとした押し心地が良い」という方はアリです。
とは言ったものの、、、僕が知る限り日本語配列ではARCHISSのMaestroでしか見たことありません。
以上が日本語配列で選べるマイナー軸です。
とはいえ、マイナー軸なのでこれらを選ぶ場合はキーボードの選択肢がかなり狭まってしまいます。
ゲーム用なら銀軸はオススメですが、それ以外の方は代表的な4つから選ぶのが無難です。
ちなみに、これ以外にも緑軸や紫軸などの”ガチマイナー軸”はあるので、さらに探求心がある方は調べてみても良いと思います。
軸に関する豆知識
今までたくさんのメカニカルキーボードを買ってきたからこそ分かる軸に関する豆知識について解説していきます。
他ではあまり聞かないようなことも多いですし、割とキーボード選びにも役立つ情報が有ると思います。
- 質が低い互換軸もある
- 同じ軸でも感触が違う
- キーキャップでも音が変わる
- 軸を交換できる物もある
質が低い互換軸もある
HERRY MXキーのメカニカル軸は特許が切れており、他の会社も同じような軸を作ることが可能です。
それ故にCHERRY MX軸と全く同じ形の”互換軸”という物があります。
Kailh社やGateron社などは互換軸を販売している会社の中でも有名ですが、他にも色々な会社が作っているので中には質が劣るものもあります。
CHERRY MX系の軸は軸に作ったメーカーの文字が入れられていることが多いです。
これは本物のCHERRY MX軸なのですが、”CHERRY MX”という文字が入っているのが分かると思います。
この部分で作ったメーカーを判断できるのですが、中には聞いたことが無い会社のロゴが入っている場合があります。
5千円前後で買えるメカニカルキーボードの軸は耐久性に劣るものが採用されている場合もあるので、賭けの要素があるのは注意する必要があります。
同じ軸でもメーカーによって少し異なる
▼関連記事▼
-
【格安】安い5千円以下のメカニカルキーボードってどうなの?傾向と注意点を解説!
パソコンでゲームをするようになると欲しくなるのがゲーミングキーボードです。 しかし、RAZERやロジクールなどのゲーミングデバイスメーカーの物は安くても1万円ぐらいなので、なかなか手が出にくいのではな ...
同じ軸でも感触が違う
実は全く同じ会社の同じ軸が採用されているとしても、キーボードによって感触や音が微妙に変化します。
例えばCHERRY MX製の赤軸を使っていても、指に伝わる感触、音の質感や大きさが変化するということですね。
では、「この違いはどこから生まれるのか?」と言いますと、タイピングの衝撃を吸収する能力です。
タイピングの衝撃を吸収する性能が高い場合は、タイピングの衝撃が本体に響かず、キーボードを置いている机にも音が伝わらないので、音が若干静かになって軸から発される音がクリアに感じます。
加えて、無駄な振動が発生しないので、指に伝わるクリック感を感じ取りやすいのも特徴です。
特に静音赤軸の場合は振動吸収性能の違いによって、音の大きさがそれなりに変化します。
振動吸収性能の違いはスペックでは分からない部分ではありますが、参考になる部分はあります。
それは商品ページに「内部に吸音素材を仕様」とか「打鍵感を追求した」みたいなことを書いてあった場合は、静音性能が高い傾向にあります。
ちなみにシンプル系のメカニカルならKeychronやLegero、HHKB Studioの振動吸収性能は高いです。
同じ会社、同じ軸でも本体の静音性によって微妙に変わる
キーキャップでも音が変わる
また、同じ軸でも装着するキーキャップの素材や形状によっても音が変化します。
音が変化する理由は素材、形状、厚みなど色々ありますが、この中で最も変化するのがキーキャップの素材です。
キーキャップに主に使われている素材はABS樹脂とPBT樹脂の2種類です。
現在、主流なのはABS樹脂であり「カタカタ」と高い音が鳴るのが特徴です。
対して、一部のキーボードにのみ採用されているPBT樹脂は「コトコト」という低めの音になるのが特徴です。
このように、同じ機種の同じ軸のモデルでもキーキャップの仕様が異なると微妙に打鍵音が変化します
ABS製は軽め、PBT製なら重厚になる
軸を交換できる物もある
メカニカルキーボードの中には軸を交換できる物もあります。
これは”ホットスワップ”と言われており、気分によって軸を交換することが可能になるのです。
それにただ単に交換できるだけではなく、一部のキーのみスイッチを変更するとか日本語配列では選べないガチマイナー軸を装着するなど色々遊べる余地もあります。
ただし、ホットスワップ機能が付いているキーボードはあまりないのはデメリットですね。
ホットスワップなら軸を交換できる
以上がメカニカル軸の打鍵感や音に関する豆知識でした。
軸の世界も奥深い
今回はメカニカルキーボードの軸の種類とそれぞれの打鍵感を解説してきました。
メカニカルキーボード選びでは代表的な4つさえ憶えておけば大丈夫なので、全ては憶えなくても大丈夫です。
一方、今回紹介した軸は一部であり、ガチマイナー軸も含めると星の数ほど存在します。
気になる方はマイナー軸も調べて沼にハマっていきましょう。
また、同じ会社の同じ軸でもキーボード本体やキーキャップによっても打鍵感が変わるので、スペック以外の部分も注目してみるとさらに満足ができるキーボード選びになると思います。
▼関連記事▼
-
【中毒性アリ】最高の打ち心地を求めて63万円使った僕がおすすめキーボードを6つ解説!
2024年1月に更新したのでトップ6の紹介になってます 高級キーボードを選ぶ際の基準は見た目、大きさ、キー荷重などたくさんありますが、その中でも打ち心地を重視している方も多いと思います。 特に3万円以 ...