Do you beliebe in religion of palmrest?
パソコンが普及しきった現代の日本において、キーボードを触ったことが無い人はほとんどいないと言っても良いでしょう。
しかし、パームレストを使ったことがある方はそのうちの5%もいないでしょう。それどころか存在を知らない方が大多数だと思います。
そんな影が薄めのパームレストですが、一度使うと無しではタイピングしたくなくなるほどに快適なアイテムです。
僕は外出先でもノートパソコンにHHKBというキーボードを使っていますが、それと一緒にパームレストも必ず持ち運んでいます。
>>>HHKBは持ち運び可能だけど不向き。それでも僕が持ち運ぶ理由
外でもHHKBを持ち運んでいるのは「このキーボードじゃないとやる気が出ないから」という理由ですが、パームレストが無いと「普通にノートパソコンの方がマシ」と思えるほどにパームレストの効果を感じています。
それぐらいタイピングにおいてパームレストは大切な物だと感じています。
とはいっても、パームレストの効果は文章では微妙に分かりにくいと思います。
値段的には2~5千円程度なのでそこまで高い訳ではありませんが、買うとなると悩む値段ではあります。
僕がいくら説明しても「あった方が良いんだな~」程度の認識で、結局「今はいいや、、、」と思って結局購入しないパターンになってしまうと思います。
パームストを購入して「良かった」と感じているのは事実ですが、自分の感覚を文字で伝えるのは限界があります。
それに「それってあなたの感想ですよね?」とか「なんかデータとかあるんですか?」とか言われたら、「そうですけど、、、」としか言えなくなります。
しかし、僕も理系の端くれです。
サンプル数 = 1ではあるものの文章だけよりはよっぽどマシですし、数字で表されることで効果をイメージしやすくなると思います。
ということで、今回はパームレストの有無による効果を実験、解説(もとい布教)していきたいと思います。
こんな方に向けて書いています
- パームレストの効果が知りたい方
- パームレストの導入を検討している方
パームレストの効果を実験
実際にパームレストの効果を実験してみます。
今回の実験に使用するのはタイピング練習ソフトの「寿司打」でスコアを比較してみます。
図1:寿司打のメニュー画面
寿司打はブラウザで無料でプレイが可能なタイピングゲーム、流れてくる寿司ネタ(タイピングの文字)を一定時間内にタイピングをするというゲームです。
図2:寿司打のプレイ画面
この寿司打で高得点を出すためにはタイピング速度はもちろんですが、「連打ゲージ」を貯めることも重要です。
連打ゲージはミスなくタイピングすることで溜まるゲージで、ミスをするとリセットされます。
そして、連打ゲージを貯めることで連打数に応じて1秒~3秒時間が延びるので、ミスを出来るだけ少なくすることもポイントになってきます。
ちなみに寿司打には3000円コース、5000円コース、10000円コースの3つの難易度がありますが、今回は10000円コースで実験しています。
図3:寿司打の難易度選択画面
使用キーボード
今回は実験ではHHKB Professional HYBRID Type-Sモデルを使用しました。
このHHKBは公式オプション品の吸振マットを装着しており、チルトスタンドも使わずに使用しています。
図4:HHKB Professional HYBRID Type-S
このキーボードは僕が2年半ほど愛用しているキーボードです。
通常のキーボードとは配置が少し異なっており、効率的に指を動かせるので一度慣れると他のキーボードが使えなくなります。
他にも耐久性が高く、持ち運びも可能でなんと言っても打鍵感が非常に気持ち良いんです!
お値段は3万7千円とキーボードとしては超高額ですがそれだけの価値はあります。
>>>【忖度無し】HHKBのメリット6つとデメリット6つを2年使ったので「本音」でレビュー!
そして、使用するパームレストはKensingtonのErgoSoftリストレストです。
図5:Kensington ErgoSoft Erist Rest スタンダード
こちらを選んだのは特に理由はありません。
現在色々なパームレストを試してる最中で、たまたま今のタイミングでこのパームレストを使用していただけです。
ちなみに、このパームレストはフルサイズキーボード用の物なので、コンパクトサイズのHHKBに使うと右側が飛び出てしまいます。
図6:実験中のタイピング環境
傍から見ると違和感がありまくりですが、使用感には影響しないのでこのまま実験しています。
実験方法
この実験をする際に大事なのが出来るだけ同じコンディション、同じ条件で寿司打でプレイすることです。
パームレストの効果を出来るだけ正確に実験するために、以下の条件で実験を行いました。
- パームレスト無しで3日間の練習
- 5回1セットとして平均で評価する
- 3セット行い平均スコアが良いセットを採用
- プレイ前に練習を2回行う
- 両方ともガチでタイピングする!!!
パームレスト無しで3日間練習
僕はここ2年間ほどはパームレストを使用していますので、パームレスト無しの感覚を思い出す必要がありました。
そこで、パームレスト無しで記録を取り始める前に、感覚を思い出すために3日間はパームレスト無しで過ごしていました。
寿司打の練習はもちろんですが、普段行っている作業もです。
ここで、「3日間って短くない?」と思うかもしれませんが、感覚を思い出すだけならこれくらいで十分だと考えました。
僕は以前パームレスト無しで使用していましたが、実はパームレスト無しの期間の方が長いのです。
スキーやスノボをするからなら分かると思いますが、1年や2年ぶりに滑っても体が感覚を覚えていて、午後には前のように滑ることが出来ていますよね。
それを考えると3日でも十分ですし、むしろ長いぐらい取っていると思います。
もちろん、慣れによるスコアの変動を完全に防ぐことは難しいですが、これで最小限に抑えています。
慣れ不慣れによる差は最小限にしている
5回で1セットとする
寿司打は色々なネタ(お題)が流れてくるわけですが、得意なお題が良く来る場合もありますし逆もしかりです。
それだけでは無く、同じコンディションでも普通に上振れや下振れは起きるわけです。
特に僕の寿司打の最高スコアは21080円ですが、これは上振れ中の上振れです。
結構ラッキー要素もあるので、運要素を最小限に抑えるために5回プレイしてその平均値で評価します。
もちろん、途中で休憩せずに5回連続でプレイしています。
運要素を最小限にするために5回の平均値を取る
3セットで最も良い結果を採用
5回1セットで評価しますが、それでも日によってコンディションは変化します。
コンディション要素を最小限するために朝イチに実験していますし、パームレスト有と無しの実験は別の日に行っています。
そのため、日中の活動や連続でプレイすることによる疲れによる変化を排除しています。
しかし、それでもコンディションは微妙に変化してきます。
この影響を抑えるために、3セットの記録を取って最も平均スコアが良い結果を採用しています。
これによって、日ごとのコンディションの差も最小限にしています。
コンディションによる結果の違いも最小限にしている
記録開始の前に2回練習する
先ほどコンディションの差を最小限にするために、朝イチで実験を行っていると説明したと思います。
しかし、朝イチだと脳が覚醒仕切らずに最初がグダグダになり、本来の実力を記録できなくなることが起きてしまいました。
これを防ぐために最初の2回は練習をしてから記録を取り始めることにしました。
本来の実力を記録するために開始前に2回練習する
両方ともガチで行く!!!
まあ、これは当然ですが両方ともガチでプレイしています。
ガチで行かないと今まで条件を一定にするための試みが全て無駄になってしまいます。
僕も「パームレストにどれくらい効果があるのか?」というのは純粋に疑問に思っていますので、今回で「パームレストは必要か?」論争に決着を付けようと思います。
僕はいつでもガチです
以上が、パームレストの効果を出来るだけ正確に実験するための方法です。
見て頂いたように朝イチで1セットしか記録しないので、有り無しそれぞれ3セット記録するとそれだけで6日間かかります。
それに、それ以外でも同じ条件で行えているか試したり、パームレスト無しの練習をしたりする時間もありましたので、結局合わせて2週間ほど実験していたということになります。
おかげで自分でも「結構良い記録が取れたな」と思っていますので、次の見出しで実験結果を紹介していきます。
パームレスト有り無しの実験結果
ということで、これらの条件で試した結果はこのようなデータになりました。
最初にパームレスト有りで実験した結果です。
表7:パームレスト有りの実験結果
パームレスト有 | スコア(円) | 打鍵速度(回/秒) | ミス率(%) | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 17200 | 6.0 | 3.5 | 最低スコア |
2回目 | 17700 | 6.0 | 2.3 | なし |
3回目 | 19200 | 6.2 | 2.9 | 最高スコア |
4回目 | 19200 | 6.2 | 2.7 | 最高スコア |
5回目 | 18300 | 6.1 | 1.6 | なし |
平均 | 18300 | 6.1 | 2.6 | なし |
次にパームレスト無しで実験した結果です。
表8:パームレスト無しの実験結果
パームレスト無 | スコア(円) | 打鍵速度(回/秒) | ミス率(%) | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 18700 | 6.2 | 2.4 | 最高スコア |
2回目 | 16700 | 6.0 | 3.4 | なし |
3回目 | 17700 | 6.1 | 3.0 | なし |
4回目 | 16200 | 5.8 | 4.6 | 手首に疲労 |
5回目 | 16200 | 5.8 | 3.0 | 手首に疲労 |
平均 | 17100 | 6.0 | 3.3 | なし |
打鍵速度は1秒間にキーボードを叩いた数の平均であり、ミス率はミスタイプ数を総打鍵回数で割って100をかけた値です。
パームレストの効果は?
次に先ほど紹介したデータを考察していきます。
疲労度の違い
最初に疲労度の違いです。
いきなり数字で表せない部分から考察を始めますが、パームレストを語るうえで外せないので一番最初に考察していきます。
先ほどご覧いただいたパームレスト無しの4回目と5回目の特記事項には「手首に疲労」と記載しています。
これは、パームレスト無しの状態では記録を取る前の練習を含めると6回目と7回目のプレイですでに手首が疲れてしまったということです。
それと共にスコア、打鍵速度、ミス率ともに一気に悪化しているのにも現れています。
対してパームレスト有りの場合は手首の疲労は感じませんでしたし、スコアや打鍵速度とミス率の成績はむしろ上がり傾向がありました。
僕の主観ですが回数を重ねるごとに調子が上がっていき、別に疲れも無かったのでそのままスコアも上がったと考えています。
やはり、「手首がほとんど疲れない」という点がパームレストの最も大きなメリットだと言えるでしょう。
外付けキーボードは厚みがあるので、パームレストが無いと手首を浮かしながらタイピングする必要があります。
手首を浮かした状態を保持するためには常に力を込めておく必要がありますし、こんな状態では手首がすぐに疲れてしまいます。
この状態が続くと腱鞘炎に繋がることもありますし、僕も慢性的な疲労と同時に痛みも感じていました。
反対にパームレストを使用すると手首に負荷がほとんどかからなくなりますし、実際に僕もパームレストを使い始めてから手首に疲労をほぼ感じなくなったという体験があります。
また、高級キーボードは基本的に厚みがある傾向があり、高級キーボードの疲労軽減効果を活かそうとするとパームレストが不可欠です。
例えば僕が使用しているHHKBだと純正でも約18mmの厚みがあります
高級キーボードを使っている方、もしくは検討している方は魅力を活かすためにパームレストを同時に使うことをおすすめします。
長くなりましたが、パームレストは手首の疲労をほとんど無くすことが可能で、副次的に疲労によるパフォーマンスの低下も防止することが可能であると言えるでしょう。
パームレストを使用すると手首の疲労がほとんど無くなる
タイピングスピードの違い
2つ目はタイピングスピードの違いです。
パームレスト有りでの平均打鍵回数は6.1回/秒であり、パームレスト無しでの平均打鍵回数は6.0回/秒でした。
パームレスト有りの方が平均打鍵回数は高いですが、1.7%しか変化が無かったのでほとんど誤差の範囲と言っても良いでしょう。
先ほども解説したようにパームレスト無しでは手首の疲労で4回目と5回目の記録が下がっていますので、それに引っ張られて平均打鍵回数がわずかに減少したと考えられます。
よって、回数を重ねると疲労によって変化はするが、パームレスト自体にスピード向上効果は無いと言えます。
タイピングスピードはほとんど変わらない
ミスタイプ率の違い
3つ目はミスタイプ率の違いです。
パームレスト有の場合は平均ミス率が2.6%、パームレスト無しだと平均ミス率が3.3%です。
ミス率に関しては疲労とか関係なく全体的にパームレスト無しの方が高い印象がありますし、パームレストが無いと平均26%ミスが多いという結果になっていますね。
実験結果を見るためにスクロールするのが面倒だと思いますので、2つの結果を再掲します。
表7:パームレスト有りの実験結果(再掲)
パームレスト有 | スコア(円) | 打鍵速度(回/秒) | ミス率(%) | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 17200 | 6.0 | 3.5 | 最低スコア |
2回目 | 17700 | 6.0 | 2.3 | なし |
3回目 | 19200 | 6.2 | 2.9 | 最高スコア |
4回目 | 19200 | 6.2 | 2.7 | 最高スコア |
5回目 | 18300 | 6.1 | 1.6 | なし |
平均 | 18300 | 6.1 | 2.6 | なし |
表8:パームレスト無しの実験結果(再掲)
パームレスト無 | スコア(円) | 打鍵速度(回/秒) | ミス率(%) | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
1回目 | 18700 | 6.2 | 2.4 | 最高スコア |
2回目 | 16700 | 6.0 | 3.4 | なし |
3回目 | 17700 | 6.1 | 3.0 | なし |
4回目 | 16200 | 5.8 | 4.6 | 手首に疲労 |
5回目 | 16200 | 5.8 | 3.0 | 手首に疲労 |
平均 | 17100 | 6.0 | 3.3 | なし |
パームレストが無い状態でタイピングをする際には手首を浮かせる必要があるのは前述の通りですが、そうなると手の位置が安定しにくくなってしまうんですよね。
僕はタッチタイピングをしていますが、手の位置の安定性が低くなることで「スカッ」と空振りしてしまうことが増えますので、ミスタイプをする確率が増えてしまいます。
これがパームレストを使用すると手首が支えられるので、手の位置も固定されます。
これによって安定感も向上して、キーを空振りするようなミスタイプはほとんど発生しないようになります。
実際の作業でもミスタイプをすると文字を消す必要があるので、文字を消す手間が少なくなることによってストレスを軽減できます。
手首の位置が安定するのでミス率が減る
スコアの違い
お待たせ致しました。最後のスコアの違いについての考察です。
スコアは今までの内容が積み重なった結果であり、先に他の項目を考察しないと意味が無いので最後にさせて頂きました。
パームレスト有りの場合の平均スコアは18300円、パームレスト無しの平均スコアは17100円でした。
パームレスト有りの方が1200円分スコアの平均が高く、無しのスコアに対して7.0%スコアが上昇しました。
高級コースにおいて1200円分は3~4皿分多くタイピングする必要があります。
タイピングスピードにはパームレストの有無によって変化はほぼ無かったので、「連打ゲージ」による制限時間のボーナスによってスコアが上昇したと考えられます。
連打ゲージはミスをせずに連測でタイピングすることで1~3秒制限時間が追加されるシステムでしたね。
僕のタイピングスピードでは一皿3~4秒かかるので、パームレスト無しの状態より大体10秒~15秒ほど時間が追加されたということですね。
また、それに加えてやはり4回目と5回目の手首の疲労も少し影響していると考えています。
4回目と5回目の記録では共にスコアが16200円と最低スコアを出していますので、疲労せずにタイピングスピードを維持できている場合は平均スコアが1皿分くらい(380円~500円程度)上昇していたでしょう。
やはり、疲労の影響はここでもスコアに影響しています。
ミス率と疲労の軽減効果によってスコアも上昇
以上がパームレストの有無による違いの考察でした。
結論:パームレストは効果アリ!
今回はパームレストの効果を実験してみました。
パームレストが無いとミスは26%増加したり、手首も疲れやすくなったりします。そして、それが積み重なって7%のスコアの差に繋がりましたね。
タイピングスピードがほぼ変化無しだったのは意外でしたが、それでもパームレストに効果があることを皆さんに示せたと思います。
結構、時間をかけた実験でしっかり条件を整えたつもりなので、データでしっかり違いが出て嬉しいですね。
今回はタイピングゲームでしたが、実際の作業でもミス率と疲労軽減効果によって作業を効率化できると言って良いでしょう。
僕もパームレストを使い始めてから手首の疲労はぼ無くなりましたので、手首に疲労を感じている方はすぐに購入した方が良いと思います。
確かにパームレストは数千円しますが、これだけの効果があるのでコスパが高いアイテムだと言えるでしょう。
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