高級キーボードの世界に踏み入れた際に始めに知るのがメカニカル式キーボードだと思います。
しかし、さらに調べていくとさらに高級な”静電容量無接点式キーボード”も存在するということを知ると思います。
恐らく「静電容量無接点式は別格らしい、、、」という事前知識をお持ちの方もいるでしょう。
僕もそんな道をたどってきたキーボードマニアの一人で、静電容量無接点方式キーボードに魅せられてしまいました。
でも、どうせなら皆さんも道連れにしたいのです(笑)
そこで手っ取り早いのが恐らく皆さんも知識があるであろうメカニカル式との違いを比較しながら魅力を伝えていきます。
と言うことで今回は静電容量無接点式とメカニカル式キーボードの違いを比較して解説していきます!
こんな方に向けて書いています
- メカニカル式と静電容量無接点方式で迷っている方
- メカニカル式は知っているけど静電容量無接点方式は知らない方
静電容量無接点方式とメカニカル式の違いを比較!
それでは静電容量無接点式とメカニカル式の違いについて比較していきます。
結論から言いますと、この2つの方式で変化する部分は以下の6つです。
- スイッチの仕組み
- 信頼性
- 打鍵感
- 静音性
- バリエーション
- 価格帯
両者はキースイッチの仕組みが根本から異なるので、それに関する部分の違いが多い印象がありますね。
それでは、それぞれの項目を詳しく解説していきます。
一部例外も存在しますので、傾向として捉えて下さい。
スイッチの仕組み
1つ目はスイッチの仕組みです。
これが両者の根本的な違いで後から解説する違いもスイッチの仕組みの違いによるものです。
メカニカル式の代表例と言えばチェリーMXキーですが、メンブレン式とは違って一つ一つ独立したスイッチであることはご存知でしょう。
メカニカル式はキーをある一定距離押すと、電極同士が触れ合って入力されるのが特徴です。
接点同士が接触することで電気が流れて反映されるのです。
次に静電容量無接点方式は接点を持たないのが特徴です。この部分が接点を持つメカニカル式やメンブレン式との決定的な違いです。
詳しい原理はこの記事では解説しませんが、キーの押し具合を非接触型のセンサで検知しているのが特徴です。
キーをある一定以上押すことで非接触型のセンサが入力したと判定して、画面上に反映されます。
▼静電容量無接点方式(HHKB)の断面▼
引用:HHKB Professional HYBRID Type-S
この”接点の有無”がメカニカル式と静電容量無接点の特徴の違いにも色濃く反映されています。
今回はメカニカル式との比較なので簡略化しましたが、更に知りたい方は仕組みを分かりやすく原理から解説しており、より特徴を詳しく解説しているこちらの記事もご覧ください。
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ちなみに、RAZERが出しているオプティカルスイッチはメカニカル式でありながら接点を持ちませんが、静電容量無接点方式とは検知方法が違います。
メカニカル式:接点で入力を判断している
静電容量無接点方式:接点がないセンサで検知している
信頼性
2つ目は信頼性です。
勘違いしてはいけないのは”耐久性”ではなく”信頼性”という部分です。
メカニカル式のキーボードは耐久性が非常に高いことはご存知だと思います。
具体的にはチェリーMXキーの赤軸なら1億回、青軸なら5千万回の打鍵感に耐えられると書かれています。
しかし、実際にはスイッチ自体の寿命を使い切る前に”チャタリング”という現象が発生する場合があります。
チャタリングは一回「A」と打っても「AA」と複数回打たれたと認識される現象
チャタリングは物理的な接点があるスイッチ特有の持病みたいなもので、電極の摩耗やほこりの侵入によって発生してしまいます。
これによって実際には数年程度で使えなくなってしまうこともあります。
つまり、本来持っている寿命の半分も使えずに使えなくなる可能性もあると言えるでしょう。
対して静電容量無接点方式は耐久性自体は5千万回とメーカーが発表しています。
回数自体はメカニカル式の赤軸の半分で青軸と同等ですが、実際にはメカニカル式のキーボードよりも寿命が長いのです。
この理由は「接点が無いからチャタリングが原理的に発生しない」からです。
静電容量無接点方式自体は結構前から存在していますので、昔に作られた機種が今でも現役で使用されていたりします。
この静電容量無接点方式(リアルフォース)は業務用キーボードにも採用されており、毎日ヘビーな使用方法でも10年以上使われている物もあります。
耐久性自体は同等レベルでもチャタリングが発生しないだけで、ここまで壊れにくさに影響してくるのです。
そのため、”信頼性”が高いと言えるわけですね。
ちなみに皆さんが良く知っているメンブレン式のキーボードは品質が良いもので二千万回です。
メカニカル式:耐久性が高いがチャタリングを起こす
静電容量無接点方式:信頼性が高く長く使える
打鍵感
3つ目に変化してくるのは打鍵感です。
メカニカル式のキーボードは打鍵感が良いと言われていますが、静電容量無接点方式はそれ以上の打鍵感と言われています。
これにはもちろん理由があります。
人が気持ち良いと感じる打鍵感には2つの条件があります。
それは”キレ”と”押し抜き感”です。
”キレ”は底付きした際にピタっと止まる感覚で、”押し抜き感”は一定以上の力を加えた際に一気に底付きまで行く感覚です。
”キレ”だけを満たしていると気持ち良く感じる打鍵感になり、両方満たしているとそれ以上にメチャクチャ気持ち良く感じます。
これを踏まえてメカニカル式と静電容量無接点方式の打鍵感の違いを比較すると、満たしている条件の数が違います。
メカニカルキーボードには”キレ”はありますが、”押し抜き感”はありません。
”キレ”があるだけで気持ち良い打鍵感になるので安価なメンブレン式よりは良いのですがあと一歩足りません。
これはメカニカル式はバネで反発を生み出しているから仕方がない部分でもあります。
対して静電容量無接点方式は”キレ”と”押し抜き感”の両方満たしています。
そのため、メカニカル式よりもさらに打鍵感が気持ち良く感じるのです。
これこそが静電容量無接点方式の打鍵感が気持ち良いと言われている理由です。
”キレ”と”押し抜き感”についてさらに詳しく解説している記事もあるので、打鍵感についてさらに知りたい方は是非ともご覧ください!
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メカニカル式:”キレ”だけがある
静電容量無接点方式:”キレ”と”押し抜き感”がある
静音性
4つ目は静音性です。
オフィスやカフェでキーボードを使用したい方は静音性を重視する必要があります。
静音性を求める場合は静電容量無接点式の方がおすすめです。
と言うのも、静音性と打鍵感を両立できるからです。
▼棒ネカフェで作業する図▼
静電容量無接点方式の静音モデルは非状に静音性が高いですし、カフェでも使えるレベルの静かさです。
もちろん打鍵感も良いので言うことなしです。
一方メカニカル式には静音赤軸(通称ピンク軸)という軸が存在しています。
通常の赤軸、青軸、茶軸はうるさくて他人の迷惑になる可能性が高いですが、静音赤軸の場合は赤軸と比較して音が30%削減されているので、他人の迷惑にならない程度の音量です。
しかし、衝撃吸収材の影響でメカニカル式のメリットである”キレ”が失われてしまいます。
安価なメンブレンほどではありませんが、少しメンブレン寄りの打鍵感になってしまいます。
メカニカル式で静音性を求める場合は打鍵感も犠牲になってしまうのです。
恐らくこの記事をご覧のほとんどの方が打鍵感を重視していると思います。
そのため、静音性と打鍵感を求める場合は静電容量無接点式方式の静音モデルを購入するのがおすすめです。
メカニカル式:静音赤軸があるが打鍵感が犠牲になる
静電容量無接点式:静音性と打鍵感を両立できる
静音赤軸についてはさらに詳しい情報を解説していますので、コチラもご覧ください。
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バリエーションの多さ
5つ目はバリエーションの多さです。
メカニカル式に使用されている軸はたくさんの種類の物が発売されており、マイナーメーカーを含めるとかなりの機種から選べます。
シンプルで仕事で使える物、ゲーミングキーボード、ニッチな需要を満たすものなどたくさんのバリエーションがあります。
具体例を挙げるとMajestouch、G913TKL、MD770などがあります。もちろん他にも数えられないぐらい種類があります。
▼Majestouch3▼
>>>FILCO Majestouch3をレビュー!価格と機能、マジェスタッチ2との違いを解説!
▼G913TKL▼
▼Mistel BAROCCO MD770▼
>>>唯一の日本配列分離式!Mistel BAROCCO MD770をレビュー【静音赤軸】
対して静電容量無接点式はマイナーなので選べる種類が非常に少ないです。
現在日本語配列が選べるものはリアルフォースとHHKBの2種類しかありません。
それぞれのキーボードを一言で表すとこんな感じです。
リアルフォース:通常のキーボードの最終強化版
HHKB:タイピングを突き詰めるために独自進化
>>>リアルフォースR3とHHKBの違いを6個解説!両方持ってるからわかる選び方とは?
そして、ゲーム用に特化したキーボードは無く、タイピングに特化した用途の物しかありません。
このように、選べるバリエーションは圧倒的にメカニカル式の方が広いです。
配列、機能、軸、形状、用途など自分が求める要件を満たして物が見つかりやすいのが特徴です。
メカニカル式:多種多様な機種から選べる
静電容量無接点方式:タイピング特化の物しかない
価格帯
最後は価格帯です。
メカニカルキーボードはバリエーションが豊富で、5千円以下で購入できる物もあれば3万円近くする物もあります。
下の画像は赤軸相当のメカニカル式ですが4千円で購入したキーボードです。
これはチェリーMXキーのコピー軸が使われており、外装や機能を最小限にしてあるからです。ただし、本家チェリーMX製の物と比較しても耐久性を犠牲にしている場合もあります。
反対に先ほども紹介したG913TKLは約3万円します。
このキーボードはロジクールのフラッグシップモデルでゲームで使えるレベルの無線接続を搭載しているのが特徴です。
このように、メカニカル式でも機能を省いた安価で購入できるモデルや、考えられる最大の機能を搭載した物と非常に幅が広いです。
他にも超マイナーキーボードを含めたら4万越えと、上を見たらキリがありません。
次に静電容量無接点方式です。
先ほどのバリエーションで察している部分もあるとは思いますが、両方ともこだわりキーボードです。
これは高額帯の物しか存在しないことを意味しており、最低でも2万円、最も高いモデルは3万7千円します。
信頼性が高いのはもちろんですが、タイピングに特化するために豊富な機能が詰まっています。
最高品質の物しかないので、その分価格帯も上がるわけですね。
メカニカル式:5千円~3万円
静電容量無接点式:2万~3万後半
キーボードの価格帯の違いを更に細かく知りたい方はこちらもご覧ください。
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以上がメカニカル式と静電容量無接点方式の違いでした。
結局どっちが良いの?
ここまでメカニカルキーボードと静電容量無接点の違いを解説してきましたが、結局どちらを選べば良いのでしょうか?
メカニカル式と静電容量無接点方式が向いている方の特徴をそれぞれ解説していきます。
メカニカル式が良い方の特徴
最初にメカニカル式が向いている方の特徴から解説していきます。
以下の4つの項目に当てはまっている場合はメカニカル式から探すのがおすすめです。
メカニカル式で幸せになる方
- ゲーミングキーボードが欲しい方
- 変わり種キーボードが欲しい方
- 比較的安価な物が欲しい方
- 静音性はそこまで必要ない方
メカニカルキーボードの強みは豊富なバリエーションにあります。
そのため、ゲームに特化したキーボードや、左右分離キーボードのようなマニアックな物が欲しい場合はメカニカル式の物から選べば良いと思います。
また、予算が2万円以下の場合は静電容量無接点式を選べませんが、メカニカルキーボードなら十分に選べます。
後は静音性能を求めない、または打鍵感を犠牲にしても良い方ですね。
これらに当てはまっている場合はメカニカル式を選ぶのがおすすめです。
ゲーミング用やマニアックな物を選ぶ場合はメカニカル式
静電容量無接点式が良い方の特徴
次に静電容量無接点方式が向いている方の特徴です。
静電容量無接点式で幸せになる方
- タイピング用のキーボードが欲しい方
- 10年以上使っていきたい方
- 最高の打鍵感を味わいたい方
- 静音性と打鍵感を両立したい方
- 最高級クラスのキーボードが欲しい方
静電容量無接点方式は高額でバリエーションが少ないですが、刺さる方にとってはかなり刺さります。
タイピング用のキーボードが欲しい場合は静電容量無接点方式の右に出るキーボードはありませんし、最高の相棒になってくれます。
そして、静音性と打鍵感が両立できるのも非常に魅力的です。
まさにオフィスにぴったりのキーボードと言えるでしょう。
後は最高級品が欲しい方ですね。
「使いこなせるかは分からないけど最高級品が欲しい」という方も結構いると思います。
そのような場合は静電容量無接点方式を選んだ方が後悔しないと思います。
まとめるとタイピング用の最高品質のキーボードが欲しい場合は静電容量無接点式がおすすめです!
タイピング用で静音性と打鍵感を同時に求める方は静電容量無接点方式
以上がそれぞれの方式のキーボードがおすすめの方です。
迷った際にはこれらのポイントを参考にキーボード選びをするのがおすすめです。
タイピング用途で都合が良いのは静電容量無接点式
今回は静電容量無接点方式とメカニカル式の違いを比較していきました。
基本的には静電容量無接点方式のメリットが大きい部分もありますが、メカニカル式もバリエーションや価格の面では優れいている部分もあります。
仕事や作業でタイピングをするのが多い場合は静電容量無接点方式の方がおすすめですし、ゲーム用に購入する場合はメカニカル式の方がおすすめです。
是非ともキーボード選びの参考にして頂ければ幸いです。
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