
皆さんは「キーボード」と聞くとどのような形状を思い浮かべますか?
恐らく、ほとんどの方は長方形の物を想像すると思います。


しかし、直線的なデザインは人体とは相性が良くないので、この形状が最適解という訳ではありません。
そこで、人体の構造に合わせて形状を変化させたのがエルゴノミクスキーボードです。

しかし、写真を見ると一発で分かるようにエルゴノミクスキーボードは通常のキーボードと形状がかなり違います。
よって「使いにくいのでは?」と考えている方もいると思います。
実際、使ってみると結構クセがありますので、検討している方は「エルゴノミクスキーボードとはどのような物なのか?」という部分を知っておいた方が後悔は回避できると思います。
ということで、今回は実際に使用してみて感じたエルゴノミクスキーボードの効果とメリットとデメリットを解説していきます。
こんな方に向けて書いています
- エルゴノミクスキーボードを検討している方
- エルゴノミクスキーボードの特徴を知りたい方
- メリット・デメリットを知りたい方

エルゴノミクスキーボードとは?
冒頭でも解説したように、エルゴノミクスキーボードは人体の構造に最適化された形状をしています。
そのため、一般的なキーボードとは大きく変化した形状をしています。

まず最初に目につくのは上から見た際に”ハ”の字になっていることですね。

”ハ”の字の形状になっていることで、手首を曲げることなく、肩も狭める必要が無くなるのです。
当たり前ですが人間の腕は正面ではなく、肩の横に付いています。
そのため、長方形型のキーボードでホームポジションの姿勢をすると下のように手首を曲げる必要がありますし、肩を狭めるような力が微妙に入ってしまいます。

特に肩幅が広いとより腕同士の幅を狭める必要があるので、その分肩を狭めてタイピングしていると思います。

対して、エルゴノミクスキーボードは”ハ”の字になっているおかげで手首を曲げる必要もなく、肩を狭めるような力を入れる必要がありません。


これが最も大きい特徴であり、「エルゴノミクスキーボードは”ハ”の字になっているキーボード」と言っても差し支えないでしょう。
次に前方から見た際にも特徴があります。

ご覧の通り、スペースキーの部分(キーボードの中央部分)が最も盛り上がっており、端になるほど下がっているのがわかります。

これは手の平を下にしながら”ハ”の字にした場合は、完全の手のひらを下にするよりも若干親指側が浮いている方が手首への負担が少ないからです。
加えて横方向にも配置が曲がっているので短い小指でタイピングがしやすくなるのが特徴です。打ちやすくなるので疲労軽減効果もあります。
そして、最後は横から見た際の形状も特徴的です。

これはエルゴノミクスキーボードを机に置いて真横から撮影した際の写真です。赤いラインを引いていますが、奥側よりも手前側の方が高くなっているのが分かると思います。
この手前側はパームレストであり簡単に言うと手首置き場です。

長方形型のキーボードは大体パームレストが付いておらず、自分で購入する必要があります。

そのため、パームレストを使えばかなり楽なのに、使っている方はほとんどいないのです。
実際にパームレストの効果を実験したところ、疲労軽減効果による違いが表われました。
>>>パームレストがいらないってマジ?疲労軽減効果やミス率を実験!

こんな感じの必須級のアイテムがパームレストですが、エルゴノミクスキーボードの場合は最初から一体化されているのです。
一体化されているのでパームレストを購入する必要が無いですし、専用設計なので形状が最適化されています。
以上のようにエルゴノミクスキーボードは肩や手首、そして指への負担を徹底的に考えられた結果この形状になっています。
ただし、会社や商品によって形状は変化します。この記事ではマイクロソフトがプロデュースしているErgonomic Keyboard for Businessという7千円ぐらいの物の写真を使用しています。

疲労軽減を徹底的に考えられたのがエルゴノミクスキーボード
エルゴノミクスキーボードの効果・メリット
次にエルゴノミクスキーボードを使うメリットを解説していきます。
メリットは以下の3つあります。
- 疲労が圧倒的に少ない
- パームレストが必要ない
- タイピングの指を矯正できる
エルゴノミクスキーボードは疲労軽減以外にも副次的なメリットがあります。

疲労は圧倒的に少ない
1つ目は疲労が圧倒的に少ないということですね。
前項で解説したようにエルゴノミクスキーボードは指と手首と肩への負担が徹底的に削減された形状になっています。
キーボードには何万もする高級な物もありますが、長方形型ではエルゴノミクスキーボードに疲労軽減効果では勝てません。
僕が普段愛用しているのは3万7千円でタイピングに特化している超高級キーボードですが、それでもエルゴノミクスキーボードの方が疲労軽減できます。

その疲労軽減効果によって一日中パソコンに向かって毎日8000文字ほどタイピングしても、指の疲労も少ないですし手首が腱鞘炎になることもありません。
それぐらいエルゴノミクスキーボードは疲労を軽減できるので、指や手首、腕への負担を減らしたい方はおすすめです。
疲労を”圧倒的”に軽減できる
パームレストが不要
2つ目はパームレストが不要というメリットです。
パームレストは手首の疲労軽減には必須なので、エルゴノミクスキーボードでは最初から付いています。
これによってパームレストを買う必要がありません。
加えて、自分で相性を考える必要がありません。
実はパームレストとキーボードには相性があり、組み合わせによっては微妙に使いにくく感じることもあると思います。

しかし、エルゴノミクスキーボードは専用設計です。相性が良いどころかドンピシャの形状をしているので、相性問題の心配は全く無いです。
このように、パームレストが付いてくるおかげで、パームレストについて何も考える必要が無いのが良いですね。
必須のパームレストが最初から付いている
▼関連記事▼
>>>おすすめはキーボードによって違う?最高のパームレストの選び方を解説!
タイピングを矯正できる
3つ目は意外かもしれませんが、タイピングを矯正できます。
皆さんもそれぞれのキーに対して押すために使う指は決まっていることはご存知だと思います。
しかし、本来押す指とは別の指でタイピングする癖がついている方も一定数いらっしゃると思います。
エルゴノミクスキーボード正しい指使いでタイピングすることを前提として形状が決められていますので、ホームポジションを意識すれば自然に正しい指使いでタイピングできます。

正しい指使いはタイピングスピードと正確性の向上につながります。
パソコンでの作業が主流になった現在ではタイピングスピードの向上は作業効率に直結しますので、副次的な効果とは言え侮れないメリットです。
指使いが矯正できる
以上がエルゴノミクスキーボードのメリットです。
やはり指や腕、手首の疲労感が大幅に削減されるのは魅力的です。
現在慢性的な疲れに苦しんでいる方はエルゴノミクスキーボードを導入すると、作業の効率が上がるのでおススメです。
エルゴノミクスキーボードのデメリット
エルゴノミクスキーボードはメリットもありますが、デメリットもそれなりにあります。
それは、以下の3つです。
- 慣れるまで大変
- 配列が独特
- 価格が高い
機種によっても異なりますが、エルゴノミクスキーボードを選ぶ際にはこれらのことは知っておく必要があります。
それでは、それぞれのデメリットを詳しく解説していきます。
慣れるまで大変
1つ目は慣れるまで大変という点です。
皆さんも察しているとは思いますが、エルゴノミクスキーボードは形状が変わっているので、キーによっては大きく形状が変形している物もあります。
今回購入したものでは、分割されている部分のH、N、T、Gなどのキーが変化していますし、スペースキーも大きく変形しているのがわかります。

そして、キー自体の形状はもちろんですが、同じ段でも微妙に高さが変化しているのも分かると思います。
高さの微妙な変化が違和感の元になって最初に使いずらさを感じる要素ですね。
僕は使用頻度が低い記号以外はタッチタイピング可能ですが、エルゴノミクスキーボードでタッチタイピングできるようになるまでに5日かかりました。
長方形型キーボードであれば初めての物でも2日ぐらいで慣れるんですど、エルゴノミクスキーボードは特に時間がかかってしまいました。
その最たる理由が同じ段でも微妙に高さが違うことであり、普段と同じ感覚で打っていると「隣のキーも一緒に触れてしまう」というのが頻発してしまったからですね。

しかし、慣れた後は以前のキーボードと同じようにタッチタイピングが可能になりますし、メリットが得られるので数日間だけ我慢できれば大丈夫です。
慣れるまでは我慢する必要がある
配列が独特
2つ目は配列が独特という点です。
1つ目と被っているように思いますが、こちらはデリートキーやインサートキー、ホームキーや矢印キーなどの機能キーの位置のことです。
エルゴノミクスキーボードは長方形型のキーボードと比較して大型になる傾向があるので、小型化するための工夫として機能キーが圧縮されている物が多いです。

機種によって圧縮されていない物もありますが、僕のものはエンターキーの近くにデリートキーがあるので慣れないうちはミスタイプでデリートキーを押してしまうことが頻繁にありました。

加えて、機能キーを頻繁に使用する方は独特の配列に慣れる必要がありますので、さらにミスタイプが増えてしまう原因になりますね。
独特な配列にも慣れる必要がある場合もある
価格が高い
3つ目は価格が高いという点です。
エルゴノミクスキーボードは安くても5千円します。
今まで千円前後のキーボードを使ってきた方にとっては5千円でも高い部類に入ると思います。
しかし、疲労を軽減したい方にとっては、少々価格が高くてもその分の価値は十分にあります。
仕事への投資と思って購入してみてはどうでしょうか?

価格がそこそこ高い
▼関連記事▼
>>>キーボードは価格帯で何が変わる?2000円未満から4万以上まで違いを解説!
以上がエルゴノミクスキーボードを使ってみて感じたデメリットでした。
エルゴノミクスキーボードが向いている方
では、前項で紹介したメリットとデメリットより、エルゴノミクスキーボードが向いている方の特徴を解説していきます。
購入するか迷った際は参考にしてみて下さい。
エルゴノミクスキーボードで幸せになる方
- たくさんタイピングをする方
- 他のキーボードを使わない方
たくさんタイピングをする方
1つ目はタイピングをたくさんする方です。
これはいうまでもありませんね。
エルゴノミクスキーボードはタイピングをたくさんする際に疲労を軽減してくれるキーボードです。
タイピングが少ない方もメリットはありますが、そこまで恩恵は得られないと思います。
タイピングをたくさんする方におすすめ!
他のキーボードを使わない方
3つ目は他のキーボードを使用する機会が少ない方です。
エルゴノミクスキーボードは慣れないと使いにくいと説明しましたが、一度慣れた後に長方形型のキーボードに戻す際も同様です。
実際に僕がエルゴノミクスキーボードから長方形のキーボードに戻した際に1時間ほど感覚が戻りませんでした。
さすがに初めてエルゴノミクスキーボードに慣れるのと同じ時間は必要ありませんが、まあまあ時間がかかります。
そのため、普通のキーボードを頻繁に使用する機会がある方は避けたほうが良いです。
ただし、1日に数回以上だと逆にキーボードを使い分けるのにも慣れてきますので、地味に難しい判断基準でもあります。
他人の長方形型のキーボードを触る必要が無い方
以上がエルゴノミクスキーボードを購入して満足できる方の特徴です。
とは言え、これが全てではありませんので、「当てはまってないけど、エルゴノミクスキーボードが欲しいな」という方は自分の意思に従って購入するのが一番良いと思います。

エルゴノミクスキーボードの選び方
エルゴノミクスキーボードは色々なデバイスメーカーから発売されています。
形状が似ているので、「エルゴノミクスキーボードはどれを選んでも同じなのか?」と思いがちですが、意外と選び方のポイントはあります。
それではエルゴノミクスキーボードを選ぶ際に見るポイントを解説していきます。
- 形状の変形具合
- 軸の種類
- テンキーの有無
- 接続方法
- その他の機能
形状の変形具合
1つ目はキー配置や形状がどれくらい変化しているのか?という点です。
エルゴノミクスキーボードでも慣れやすくするために変形度合いを抑えた物と、疲労を削減することに特化している代わりに形状が大きく変化しているものがあります。
どちらかを選ぶは慣れやすさと疲労度のどちらを重視するかによって変わってきます。
しかし、少々慣れにくくても、疲労軽減効果が高いものを選ぶのがおすすめです。
というのも形状が変化していてもだんだん慣れてきますので、最終的に疲労度を軽減できるからです。

エルゴノミクスキーボードでも変形度合いが変わる
軸の種類
2つ目は軸の種類です。
エルゴノミクスキーボードにもメンブレン式とメカニカル式があります。
メンブレン式は千円前後で買えるキーボードやノートパソコンに付いているキーボードが該当しますが、メカニカル式はキーの一つ一つにスイッチが付いているタイプです。

メカニカル式を選ぶと耐久性が高く何年も使い続けることが可能ですし、何より打鍵感が良いのでモチベーションアップになるという効果もあります。

一般的にメカニカル式になると1万円は超えるので高級キーボードの領域に入りますが、さらにタイピング体験を良くしたい場合はメカニカル式を選んでも良いでしょう。
メンブレン式とメカニカル式がある
テンキーの有無
3つ目はテンキーの有無です。
エルゴノミクスキーボードの中にはテンキーが付いている物と付いていない物(または分離式)の物があります。
ちなみに今回購入したものはテンキーがありませんが、別で付いている分離式でした。

テンキーが横に付いていると本体が大きくなり、スペースを占有してしまいますので、テンキーの有無は自分がテンキーを使用する頻度で決めると良いでしょう。

テンキーの使用頻度が高い方はテンキー付の方が良い
接続方法
4つ目は接続方法です。
エルゴノミクスキーボードは有線式、Bluetooth接続、レシーバー式と様々な接続方法から選べますが、主流は有線式とレシーバー式です。
レシーバー式というのは下のような受信機をUSBポートに差し込むだけで使用でき、Bluetooth式と比較してラグが少ないのが特徴です。

おすすめは接続方法はレシーバー式です。
線がない事でキーボード自体を移動させやすいですし、ラグが最小限で有線式と遜色なく使用できるので良い所取りというメリットがあります。
しかし、有線と比較すると安定性は低く稀に反応しない事もあるので、確実性を求める場合は有線を選ぶと良いでしょう。
接続方法は有線、Bluetooth、レシーバー式がある
その他の機能
最後はキーボードの他に付いている機能です。
商品によってはノートパソコンのようなタッチパッドが付いている物や、トラックボールが付いている物もあります。
これらはマウスの代用が可能なので、マウスに手を移動する手間がほとんど無くなるので便利です。
ただし、物によっては耐久性が低いものもあるので、レビューを確認しておくことをお勧めします。
便利な機能が付いている物もある
以上がエルゴノミクスキーボードを選ぶ際のポイントでした。
さらにこだわる場合は他にも選べる部分はありますが、基本的には今回紹介したポイントを押さえておくと選びやすくなります。
疲労に困っている方はおすすめ
今回はエルゴノミクスキーボードの効果、メリット・デメリットを解説していきました。
最初は「使いにくい!」とストレスを感じていましたが、慣れてしまうと疲労を大幅にカットしてくれるので、今まで疲れが取れなかった方は手放せなくなると思います。
購入する前は「自分は慣れる事はできるのか?」と不安かも知れませんが、1週間もすれば慣れてきますので勇気を出して導入してみてはいかがでしょうか?
また、当サイトではエルゴノミクスキーボードと近いコンセプトである左右分割式キーボードも解説しています。
疲労軽減効果を突き詰めたい方はこちらもご覧ください。
-
-
左右分割キーボードってどう?メリットとデメリット、おすすめ2種を紹介
高級キーボードは特定の用途や好みに向けて作られている傾向があるので、個性豊かなキーボードが揃っています。 しかし、その中でも特に異彩を放っているのが”左右分割型キーボード”なのではないでしょうか? ほ ...
▼関連記事▼
-
-
高いキーボードってそんなに変わる?高級キーボードの違いや必要性を解説!
基本的に仕事用キーボードがメインですが、ゲーム用途の場合もある程度参考になります。 皆さんは現在使用しているキーボードはいくらで購入したものでしょうか? 恐らくほとんどの方は千円以内で購入できるキーボ ...
-
-
【職場も可】仕事用高級キーボードの条件とおすすめ”超”厳選5種類を解説!
最近では仕事でパソコンを使用するのは当たり前になっており、業務内容によってはたくさんの資料を作成する必要があります。 そうなるとキーボードは長時間触れている仕事道具であり、お金を掛けたくなってくるもの ...