
メカニカルキーボードはタイピングの感触が良く、軸によって様々な感触を楽しむことが可能です。
しかし、メカニカルキーボードには一部の軸を除いて「音が大きい」という特徴があるんですね。
職場でキーボードを使いたい方やボイスチャットを繋ぐ使い方をする場合は、「買ったは良いものの、思ったより音が大きかった」と感じている方もいると思います。

せっかくメカニカルキーボードを購入したのだから、前のキーボードに戻すのはかなりもったいないです。
そこで、役に立つかもしれないのが静音リングです。

静音リングはメカニカルキーボードの軸にゴム(Oリング)を装着することで、音を小さくすることを目的にした商品です。
通販サイトを見ると高くても千円で購入できるので、「どれくらいの効果があるのだろうか?」と気になっている方も多いはずです。
ということで、今回はメカニカルキーボードに付ける静音化リングの効果とデメリット、付け方を解説します。
また、理由は後で説明しますがメカニカルキーボードを購入する前の方で「購入した後で静音化リングを付けよう」と考えている方はあまりお勧めしません。

それよりも最初から静音仕様のキーボードを選ぶのがおすすめなので、購入前の方にお勧めの静音キーボードも紹介します。
こんな方に向けて書いています
- キーボードに静音化リングを付けたい方
- 静音化リングを検討している方
- 静音キーボードを探している方

静音化リングの付け方
最初に静音化リングの付け方を解説します。
静音化リングの効果やデメリットだけを知りたい方は、「静音化リングに効果はある?」に飛んで頂ければご覧になれます。
必要な道具
最初に静音リングを取り付ける際に必要な道具を紹介します。
1つ目は静音リングそのものですね。

静音リングというのは”リング”と付いているように、ゴム製のリング(Oリング)を軸とキーキャップの間に装着して音を吸収します。

これが無いと始まりません。
これは安いもので500円程度、高くても1千円ちょいで購入できます。
リングの数量も1セット購入することで、フルサイズキーボード(大体109キー)1つ分は余裕で足りる量が入っています。
2つ目に必要なのがキープラーです。
装着する際にはキーキャップを外す必要があるので、100個前後のキーキャップを外す必要があります。

そのキーキャップを外すにはキープラーという専用の道具が必要です。
静音リングを購入した方は一緒にプラスチックの道具が同梱されている場合も多いので、一緒に手に入った方も多いのではないのでしょうか?


ただし、プラスチックのキープラーだとエンターキーを取り外すことはできません。


メカニカルキーボードであれば周りのキーを外してから指で引っ張れば大丈夫です。
もし、指で外せない場合はコチラの記事を参考にしてください。
>>>キーキャップ外し(キープラー)は代用できる?3つの方法を解説!
また、キープラーが万が一付属していなかった場合は、追加でキープラーを購入することをおすすめします。
確かにキープラーは代用することが可能ですが、キーボードに傷が付いてしまうことがありますし、誇張無しで5倍以上の時間がかかってしまいます。
それが100個近くあるわけですから、キープラーが無いと大幅に時間がかかってしまいます。

キープラーは1キーを1秒程度で外すことが可能で、高くても5百円程度で購入できます。
時短効果が大きいので持っていない方は是非とも購入してから作業をすることをおすすめします。

そして、後でキープラーを購入する場合は針金タイプを購入しましょう。

恐らく静音リングを購入した際に付属してきたものはプラスチック製の簡易タイプがほとんどだと思います。
すでに持っている方は簡易タイプでも良いのですが、簡易タイプではエンターキーに対応していないというデメリットがありますので、これから購入する方は針金タイプをおすすめします。
この2種類の特徴を詳しく解説している記事がありますので、それを見たらきっと「絶対に針金タイプにしよう」と思うはずです。
>>>キープラーは2種類!特徴とメリット、おすすめのキープラーを解説!
静音リングとキープラーが必要
静音リングの取り付け方
次に静音リングの取り付け方を解説します。
取り付けは非常に簡単で、僅か3つの工程で完了します。
- キーキャップを外す
- 静音リングを取り付ける
- キーキャップを装着する
最初はキーキャップを外すことから始めます。

キーキャップを外す方法はキープラーを差し込んで、「カチッ」と音がしたら引き抜きます。
ただし、スペースキーやエンターキー、シフトキーなどの大きめのキーにはスタビライザーが付いていることも多いので気を付ける必要があります。

これらのキーの外し方や付け方のポイントを解説しているので、付け方や外し方に不安がある方は是非ともご覧ください。
-
-
キープラーの使い方は?スペースキーやエンターキーなどのキーキャップの外し方も解説!
作業をする際は自己責任にてお願いします。 キーボードのキーキャップを外す際に強力な武器になるのがキープラーです。 キープラーが無くても外すことはできますがキーキャップを傷つける場合があり、効率も低くな ...
また、キーキャップを取り外す前に配列の写真を残しておくことがポイントです。

配列を完全に覚えている方は少ないでしょうし、取り付ける際に迷わないように写真で残しておきましょう。
写真を撮るのを忘れていた場合は、キーボードの名前を検索して画像を見ると良いでしょう。
撮影が面倒な場合は1つずつ静音リングを装着していくのもアリです。
次は外したキーキャップに静音リングを取り付けます。
取り付ける方法は簡単で、軸の部分にリングをはめ込むだけです。

中には「静音リングを奥まで押し込む必要があるのかな?」と疑問に思う方もいると思いますが、無理に押し込もうとしなくても大丈夫です。

左の様に全く押し込まなくても、キーキャップを取り付ける際にあるポイントを守れば大丈夫です。
最後はキーキャップを戻すという作業です。

軸の突起にキーキャプの穴を合わせて押し込むだけです。
そして、先ほど「あるポイントを守れば大丈夫」と説明しましたが、それは「装着した後にもう一押しする」というポイントです。
押し込みが甘いと静音リングが奥まで押し込まれず、キーによって高さが変化してしまいます。

そして、スタビライザー付きのキーは戻すのにもポイントがあります。
取り外しにもポイントはありましたが、取り付けにもコツがあります。
キーボードによって仕組みが変化しますが傾向はあるのでこちらを参考にしてみて下さい。
>>>スタビライザーのあるキーの取り付け方(注意点の項で解説)
以上で静音リングの取り付けは完了です。


取り付けが完了した後でも見た目の変化はありませんが、キーボードによってはLEDが少し暗くなる可能性もあります。
静音化リングに効果はある?
静音化リングで気になるのがその効果です。
結論から言いますと、「効果はあるけど、あまり変わらない」というのが素直な感想です。
僕が使用している赤軸の場合は静音リングを取り付けても、15%ぐらいしか変わらないと感じています。
15%だと「確かに変わっているけど、こんなもんか、、、」という感じですし、カフェはもちろんですが職場でも静かな環境ならばタイピング音が響くレベルです。

加えて青軸の場合は原理的に音の減少率はもっと少なくなります。
というか、音が発生する仕組みから見れば効果が薄いのは仕方がないとも言えます。
メカニカルキーボードで音が発生するタイミングは3つあります。
- 軸から発生する「カチッ」という音(青軸系)
- 底付き時に発生する音
- 元の位置に戻る際に発生する音
1つ目は軸自体が「カチッ」というタイミングです。
これは青軸などのクリッキータイプの軸だけが持っている音が鳴る部分ですね。

赤軸や銀軸、黒軸などのリニア系や茶軸などのタクタイル系の場合は発生しません。
2つ目はキーが底付きしたタイミングです。
メカニカルキーボードはキーが底付きした際になる音で、3つの中で最も大きい音が鳴るタイミングです。
これは全ての軸で発生します。
3つ目はキーが反発して元の位置に戻ってくる際の音です。
皆さんもお手元のメカニカルキーボードで試していただきたいのですが、キーを長押ししてから一気に戻してみて下さい。
「カッ」という音が聞こえませんか?
普段は底付きした音と同化するので、意外と気づかない方も多いのではないかと思います。
この音は反発して跳ね返ってきたキーを静止する際に出る音で、そこそこ大きい音が鳴ります。
このように、メカニカルキーボードから音が鳴るタイミングは青軸系が3つ、赤軸系や茶軸系が2つあるのです。
しかし、静音リングで音を抑えられるのは2つ目のキーが底付きした時のタイミングだけなのです。

このような理由があるので静音リングは「効果はあるけど期待したほどではない」というのが結論になってしまいます。
15%ほど音が軽減されるが、構造的にあまり期待できない
静音化リングのデメリット
静音化リングにはデメリットもあります。
それは、底付き時の打鍵感が悪くなるというデメリットです。

先ほど説明したように静音リングはキーが底付きしたタイミングで発生する音を軽減すると説明したと思います。
これは静音リングで底付きする際に発生する衝撃を吸収しているからなのですが、それが原因で「ブニュ、ブニュ」という感触になってしまいます。

実はメカニカルキーボードの打鍵感が気持ち良いと感じる理由の1つが、底付きの際に「ピタッ」と止まってくれるからなのです。
一度ご自身のキーボードで試してくだされば、僕が言っていることを実際に体感できると思います。
メカニカルキーボードを使用している方のほとんどは打鍵感も気に入っていると思いますし、効果もそこまで無いので「打鍵感が少々犠牲になっても、静音性が必要」という方以外はおすすめ出来ません。
このように、打鍵感が犠牲になってしまうのが静音化リングのデメリットと言えます。
せっかくの打鍵感が損なわれてしまう
おすすめの静音のキーボード
静音リングは15%程度の効果しかありませんので、さらに静音化を求める方はキーボードを変更するしかありません。
静音性だけを求める場合はメンブレン式は優れていますが、一度メカニカルキーボードの快感を知ってしまった方は、もう安価なメンブレン式では満足できない体になってしまっていると思います。
まだメカニカルキーボードを購入していない方も、静音性と打鍵感の両方とも求めている方はメカニカルと静音リングの組み合わせはやめておいた方が良いでしょう。

そんな「妥協したくない」方のために、静音性と打鍵感を両立したキーボードを紹介します。
静音赤軸(ピンク軸)
1つ目は静音赤軸タイプです。
静音赤軸は通称ピンク軸と呼ばれており、赤軸を静音化したものです。

静音赤軸はビジネスで使用することを想定されているメカニカルキーボードで選べることが多いです。(逆にゲーミングキーボードはほとんど無い)
具体的にはマジェスタッチやアーキスのクワトロ、左右分割キーボードのMD770などで選べます。

>>>FILCO Majestouch3をレビュー!価格と機能、マジェスタッチ2との違いを解説!
前項で赤軸から音が発生するポイントはキーが底付きしたタイミングとキーが元の場所に戻ったタイミングと解説しましたが、静音赤軸はその両方対策されており、赤軸に比べて30%の静音化を実現しています。
さすがに30%静音化の効果は大きく、よっぽど静かでなければ職場でも使えるレベルです。
ただし、静音リングと同様に底付きする部分に衝撃吸収用の部品が付いているので、打鍵感は少し犠牲になっているのも特徴です。
静音リングよりも効果は大きく、打鍵感の低下もまだ少ないとはいえ、普通の赤軸と比較すると劣ってしまいます。

赤軸と静音赤軸の詳しい違いは別の記事で解説していますのでご覧ください。
-
-
赤軸と静音赤軸の違いは何?ピンク軸が疲れるのは本当なのか解説!
高級キーボードと言えばメカニカルキーボードが有名です。 しかし、メカニカルキーボードを職場で使用することを考えている方にとっては意外な障壁があります。 それが、タイピングをする際の音です。 実はメカニ ...
静音赤軸は赤軸より打鍵感は少し劣るものの静音性は高い
静電容量無接点の静音モデル
2つ目は静電容量無接点方式の静音モデルです。
代表的な静電容量無接点方式のキーボードはリアルフォースやHHKBなどがあります。

>>>【レビュー】リアルフォースR3は「寄り添うキーボード」です。
これはメカニカルキーボードはなく、静電容量無接点方式という仕組みが採用されたキーボードです。
2万から3万後半の超高級キーボードで採用されている方式で耐久性がかなり高く、一生使えるレベルの耐久性があります。

そして、これらのキーボードは静かなカフェでも余裕で使用できる静音性でありながら、打鍵感が犠牲にされていません。
実は僕も静電容量無接点方式のHHKBというキーボードを2年半以上愛用しています。

>>>【忖度無し】HHKBのメリット6つとデメリット6つを1年間使ったので「本音」でレビュー!
最近では静電容量無接点方式のゲーミングキーボードであるリアルフォースGX1も発売されたので、ゲームで使い方にとってもおすすめの選択肢です。

これらはかなり高額ですが、打鍵感と静音性を高いレベルで求める方は静電容量無接点方式の静音モデルなら満足できると思いますので、是非とも検討してみてはどうでしょうか?
打鍵感と静音性を両立するなら静電容量無接点方式
-
-
【キーボード】静電容量無接点方式とメカニカル式の違いを比較解説します!
高級キーボードの世界に踏み入れた際に始めに知るのがメカニカル式キーボードだと思います。 しかし、さらに調べていくとさらに高級な”静電容量無接点式キーボード”も存在するということを知ると思います。 恐ら ...
以上がおすすめの静音キーボードでした。静音を求める方はキーボード選びの参考にしてみて下さい。
静音リングに過度な期待は禁物
今回は静音リングを装着する方法と効果・デメリットを紹介しました。
実際に試してみましたが、大きな静音効果はありませんでしたし、メカニカルキーボードのメリットである打鍵感も犠牲になってしまいます。

ただし、効果が少なからずあるというのも事実ですし、安価に試せるので「どうしてもメカニカルキーボードを静音化したい」という方は試してみるのも良いと思います。
それ以上の静音性や打鍵感を求める場合はキーボード自体は買い替えるしかないですし、まだ購入していない方は最初から僕が今回紹介したものを選んでおくのがおすすめです。
▼関連記事▼
-
-
キーボードのチルトスタンドってどれが一番良い!実は使わない方が快適!?
現在発売されているキーボードにはほとんどチルトスタンドが付いています。 そして、機種によっては2段階の角度を選べますので、どの角度にして使うのかは悩みどころです。 「スタンドが付いているなら、使った方 ...
-
-
パームレストがいらないってマジ?疲労軽減効果やミス率を実験!
Do you beliebe in religion of palmrest? パソコンが普及しきった現代の日本において、キーボードを触ったことが無い人はほとんどいないと言っても良 ...